イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活

「じゃあ、顔合わせの日にお姉ちゃんが持ちかけた取り引きって？」

「妊娠したから嫁にはなれない。その代わり、お前を差し出すってな。薫子は鋭いからな。俺が顔合わせの日にお前を見ていた事に気づいたんだ。顔合わせの日にお前の顔を見るまですっかり忘れていたが、高校の時、旧校舎の図書室にいる桜子に興味があった」

「私に興味？」

思わず耳を疑う。

お姉ちゃんと比べると私は地味で目立たない存在だったはずだ。

「桜子が入学してきた時、周囲の男子は梅園の美人姉妹がって騒いでた。図書室で偶然居眠りしてるとこを見かけてしばらく観察していると、深窓のご令嬢と噂のお前がヨダレ垂らして小説のヒーローらしき人物の名前や食べ物の名前を呟いて寝ていた」

深窓のご令嬢？誰ですか、それ？

噂って怖い‼