イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
あの飴は甘くて優しい味がするもん。

「ところで、私に興味があったから姉の取引に応じたんですか?」

恥ずかしいとこ一杯見られてるのに、私に興味を持つなんて信じられない。普通の人なら呆れてるだろうに。

「面白いと思ったんだ。側に置いてしばらく見てみるのもいいかと思った。だが、薫子はこの取引に条件をつけてきた。俺と桜子が一緒にいる期間は一ヶ月。一ヶ月経っても桜子が俺の事を好きにならなければ、契約を終了しろと」

そして、式の当日にお姉ちゃんは逃げ出したわけだ。

全ては二人の計画通り。刹那さんのお祖父さんの手術も無事に終わって、お祖父さんは元気になったし。

「……結局、お姉ちゃんは私をどうしたかったんですか?」

「本ばっかり読んでる妹に恋愛させたかったそうだ。あんな性格だが、それなりに桜子の事は心配してるらしい」

「心配ですか?」

こんなに人を振り回しておいて?

私は眉をしかめる。

「ラスベガスに行ったのも、今日薫子に会ったのも、桜子の様子を報告するためだ。まあ、金もしっかり無心されたが」
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