イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
お姉ちゃん……結局、お金のために私を差し出したんじゃない?

考えると思わずムッとしてしまう。

「薫子の話はもういいだろう。本題に入ろうか」

刹那さんはスーツのポケットから指輪を取り出すと、急に真剣な表情で私を見つめた。

刹那さんが取り出した指輪は、私がテーブルに叩きつけたあの結婚指輪だ。

「今度こそ本当に俺と結婚してくれないか?」

一瞬何を言われているのかわからなかった。

でも、何度も刹那さんの言葉を頭の中で繰り返すと、ようやく意味を理解した。

「う……そ」

身体がガクガクと震える。

「……私で本当にいいんですか?私……妄想凄いし、ドジでまた迷惑かけちゃうかもしれませんよ」

私の問いに刹那さんはゆっくり微笑みながら頷く。

「桜子がいいんだ」
< 258 / 288 >

この作品をシェア

pagetop