イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「それは、桜子のだ。『高慢と偏見』好きだろ?」

「でも……凄く高かったんじゃあ?」
オークションの商品だよ。しかも、競り落とすってかなりの金額のはず……。

「婚約指輪の代わりだ。それに、薫子の借金と比べたら格安だ。だから、金額は気にするな」

ちょっと謎名た刹那さんの微笑。

金額は聞かない方が良いだろう。知ってしまったら本に触れられなくなりそうだ。

「ありがとうございます。でも……私は何にも用意してなくて」

刹那さんがこんなに私の事を想っていてくれて凄く嬉しいけど、私は刹那さん信じなくて暴走しちゃってちょっと申し訳なく思ってしまう。

「それなら、またあのとろろ芋食べさせてくれればいい」

刹那さんの言葉に私はにっこり微笑んだ。

そんなのお安い御用です~。

「じゃあ、明日、早速!」

「それは楽しみだな」

刹那さんの蕩けるような笑顔に、私も自然と笑顔になる。
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