【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-



むしろ、いまは羽歌のことばかり考えていたから、乃唯のことなんて頭になかった。



「……付き合わないよ、きっと」



「……そっか」



「とつぜん、どうしたの?」



胸が苦しくなるのは、彼が好きだから。でも、となりにいるのは、私じゃダメで。だけど、羽歌のために身を引くわけじゃない。



「んー、まぁ……」



「なによー」




む、と拗ねる私に、夕咲がくすりと笑う。──と、突然視界が暗くなって。



「夕咲……?」



「じゃあ、俺と幸せになる?」



目をふさいでいた手が離れると、目の前には黄色い大きな花。夏に咲くそれを見て、笑ってしまう。



──ああ、もう。



「……うん」



「──好きだよ、誰よりも」



< 295 / 368 >

この作品をシェア

pagetop