【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
むしろ、いまは羽歌のことばかり考えていたから、乃唯のことなんて頭になかった。
「……付き合わないよ、きっと」
「……そっか」
「とつぜん、どうしたの?」
胸が苦しくなるのは、彼が好きだから。でも、となりにいるのは、私じゃダメで。だけど、羽歌のために身を引くわけじゃない。
「んー、まぁ……」
「なによー」
む、と拗ねる私に、夕咲がくすりと笑う。──と、突然視界が暗くなって。
「夕咲……?」
「じゃあ、俺と幸せになる?」
目をふさいでいた手が離れると、目の前には黄色い大きな花。夏に咲くそれを見て、笑ってしまう。
──ああ、もう。
「……うん」
「──好きだよ、誰よりも」