【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
病室にもどると、黄色い花束を抱えた私を見て、羽歌がふふっと笑った。
「上手くいったみたいで、よかった。
もし夕咲が失恋したらどうしようって、みんなで話してたところだったの」
「不吉な会議してんじゃねぇよ~」
……あ、の。
「みんな……知ってた、の?」
病室に戻ってきたらしい咲乃も、楽しげに笑ってるし。
今さらながら手をつながれてることに恥ずかしくなって解こうとするけど、がっちり繋がれて解けなかった。
「知ってたから、お前に夕咲がどこ行ってんだって聞かれて答えられなかったんだっつーの。
ま、上手くいってよかったんじゃね?」
岬が、そうやって笑ってくれるから、瞳に涙が滲む。今日のわたし、ほんとに泣き虫だなぁ。
「羽紗」
──愛しい人の声に、顔を上げる。
「向き合う覚悟は、いい加減できた。
色々巻き込んで悪かったな」
「乃唯……」
「俺が言ったら苦しめるかもしれねぇけど、幸せになれよ」
ふるふると、首を横に振る。──もう、十分だよ。
つぶれてしまわないように、だけどぎゅっと花束を抱きしめて。