GET!~アイツを振り向かせたい気持ちは120%~
片手を上げて城薗を見送る。だけど、それだけじゃ物足りなくて、気づいたら口が動いていた。
「転けんなよ」
城薗に届いていた俺の声。アイツは振り向いてガッツポーズをした。
『位置について。よーい』
パンッ
第1区の走者がスタートした。校庭を1周してから、正門を抜けて次の走者の元まで走る。
城薗もスタートは好調そうだ。なんとか団体の真ん中らへんにいる。
「城薗さーん!頑張れー!」
准が声をあげる。
「城薗ー!」
俺も負けじと応援する。
俺達の前を走った時に城薗がチラッとこちらを見た。俺を見たのか、准を見たのか分からない。だけど、一瞬だけ目が合った気がした。そのまま第1走者は全員正門へ走り去った。
「行ったな」
「転んだりしてないといいね」
──────城薗、が。
俺達の主語は、きっと同じだ。
「俺もウォーミングアップするかなぁ」
周りの奴等が腰をあげる姿を見て、准が呟く。