GET!~アイツを振り向かせたい気持ちは120%~
城薗のあの笑顔を守りたくて、城薗の楽しい時間を共有したくて、城薗の悲しい時に傍にいて話を聞いてやりたくて……城薗に好きって言えなかった。
大切だから、好きだから……簡単に好きだって言えなかった。
【友達】っていう曖昧で、いい関係に使えてしまう言葉で、好きを隠していた。
「はぁっはぁっ……」
滴る汗を右手で拭う。気がつけば、折り返し地点が近づいていた。
先頭の奴は、もう折り返して学校へ向かっていた。あぁ、ちょっとだけトップで帰れたらって思ってたけど、トップの壁は大きいな。
それに、俺が何着で帰ろうと、アイツは何も気にしないし。
アイツが……城薗が気にしてんのは准のことだけだ。折り返しのコーンを回って、今来た道を戻る俺。まだ折り返していない生徒と顔を合わせることになるが、まだ准らしき奴は会っていない。
大丈夫だろうか。途中でぶっ倒れていないだろうか?
たとえライバルでも、そういうのは気にしてしまう。それに、運動オンチな准だから余計に心配もしてしまう。