蟲狩り少女
すると、窓辺に置いているベッドの布団が盛り上がっていることに気が付いた。


眠っているのかな?


そう思い、そっと中へ入るあたし。


布団は胸あたりの部分が上下している。


けれど頭までスッポリかぶっていてお母さんの様子は見えない。


「ねぇ、お母さん?」


そっと布団に手をかける。


頭の部分を少しだけめくり上げると、お母さんが顔をしかめつつ寝返りを打つのが見えた。


「ごめんね里音。お母さん体調が悪いの」


くぐもった声でそう言う。


「風邪? 大丈夫?」


あたしはベッドの横に膝をついて様子を伺う。


「少し熱っぽいだけだから大丈夫。里音に風邪をうつすワケにもいかないから、もう部屋を出ないさい」
< 226 / 289 >

この作品をシェア

pagetop