シンデレラに恋のカクテル・マジック
「わざわざこんなところまで?」
「はい。この先に業務用スーパーがあって……」
安いので重宝しています、という言葉は飲み込んだ。
「天気もいいし、まだそんなに暑くないから、サイクリングにはもってこいだね」
永輝が言いながら、地面に落ちていたボトルを拾い上げた。
「永輝さんはフレアの練習ですか?」
「そう。暇だから」
「暇、ですか」
永輝がベンチに腰を下ろしたので、菜々もその横にちょこんと座った。
「時間があるとさ、いろいろと考えちゃうだろ。そういうの、面倒だから」
菜々は永輝の顔を見た。彼はどこか寂しそうな表情をしている。菜々がアルバイトをいくつも掛け持ちしているのは、時間ができたときに両親のことを思い出したくないからだ。もしかして、永輝も同じような理由でフレアをしていたのだろうか。そう思って菜々は訊く。
「いろいろって……もしかして、永輝さんもお父さんとかお母さんのことを考えちゃうんですか?」
「え?」
永輝が眉を寄せて菜々を見た。
「あ、ごめんなさい。何でもないです」
思い込みで訊いてしまったが、永輝の両親は二人とも健在かもしれないのだ。
「はい。この先に業務用スーパーがあって……」
安いので重宝しています、という言葉は飲み込んだ。
「天気もいいし、まだそんなに暑くないから、サイクリングにはもってこいだね」
永輝が言いながら、地面に落ちていたボトルを拾い上げた。
「永輝さんはフレアの練習ですか?」
「そう。暇だから」
「暇、ですか」
永輝がベンチに腰を下ろしたので、菜々もその横にちょこんと座った。
「時間があるとさ、いろいろと考えちゃうだろ。そういうの、面倒だから」
菜々は永輝の顔を見た。彼はどこか寂しそうな表情をしている。菜々がアルバイトをいくつも掛け持ちしているのは、時間ができたときに両親のことを思い出したくないからだ。もしかして、永輝も同じような理由でフレアをしていたのだろうか。そう思って菜々は訊く。
「いろいろって……もしかして、永輝さんもお父さんとかお母さんのことを考えちゃうんですか?」
「え?」
永輝が眉を寄せて菜々を見た。
「あ、ごめんなさい。何でもないです」
思い込みで訊いてしまったが、永輝の両親は二人とも健在かもしれないのだ。