シンデレラに恋のカクテル・マジック
「そう。いや、正確に言うと、彼女の後、何人かと付き合ったから、前の前の前の……何人か前の彼女ってことになるんだけど」
永輝がそう言っていたずらっぽく笑った。
「その前の前の前の……何人か前の彼女さんってよっぽどステキな方だったんですね」
「そうだね……。大学時代に付き合い始めたんだ。それぞれ別の会社に就職したけど、きっとこのままの関係が続いていくんだって安心しきってたんだろうな……。朝は早くから出勤して、企業の決算報告書や有価証券報告書を読み込んで、夜は遅くにしかつかまらない顧客に電話をかけたり話をしたり……忙しくてつい彼女のことをほったらかしにしてしまった。そうしたら、彼女が寂しいのと不安になったのとで、共通の男友達に相談し始めて……いつの間にかそいつとくっついてしまった」
「そんなことが……あったんですか……」
「土曜日の朝に仕事の話をしたとき、〝自分でも取引したいと思うようになった〟って言ったけど、本当は違うんだ。がむしゃらになって働いて、ふと気づいたら大切なものを失っていて……。俺は一体何のためにあの会社で働いていたんだろうって思うと、もうやる気が出なくなってね。情けないだろ」
永輝がそう言っていたずらっぽく笑った。
「その前の前の前の……何人か前の彼女さんってよっぽどステキな方だったんですね」
「そうだね……。大学時代に付き合い始めたんだ。それぞれ別の会社に就職したけど、きっとこのままの関係が続いていくんだって安心しきってたんだろうな……。朝は早くから出勤して、企業の決算報告書や有価証券報告書を読み込んで、夜は遅くにしかつかまらない顧客に電話をかけたり話をしたり……忙しくてつい彼女のことをほったらかしにしてしまった。そうしたら、彼女が寂しいのと不安になったのとで、共通の男友達に相談し始めて……いつの間にかそいつとくっついてしまった」
「そんなことが……あったんですか……」
「土曜日の朝に仕事の話をしたとき、〝自分でも取引したいと思うようになった〟って言ったけど、本当は違うんだ。がむしゃらになって働いて、ふと気づいたら大切なものを失っていて……。俺は一体何のためにあの会社で働いていたんだろうって思うと、もうやる気が出なくなってね。情けないだろ」