ひねくれ作家様の偏愛
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この前もめて、彼の部屋を後にしてから、海東くんと連絡をとっていない。
原稿はメール添付で届いた。
私の拒絶に彼が折れたかたちだ。
再び金曜に打ち合わせと指定されたけれど、行く気はない。
その旨はメールを返信してある。
彼の送ってきた原稿を読んだ。
荒唐無稽なSF小説。
私は彼の創るもののファンだ。
純粋にバカになれるファンだ。
しかし、そんな私にも彼の作品の劣化が感じられた。
以前の作品にはあった強すぎる主張も個性もぼけていた。
主題もブレ、キャラクターは少年誌で見かけそうなよくあるもの。
本来の海東智は違う。
堕ちてなお、彼の作品が美しかったことを私は覚えている。
彼の作品はひとりよがりではない。テクニックに溺れていない。
ナルシズムにも浸っていない。
写実的で、世界観に忠実だ。
繊細で驚きに満ち、感動や涙を心の淵から溢れさせた。