ひねくれ作家様の偏愛
「いやぁ、助かったよ。海東センセ、絶対メールで原稿送らないからさ。取りに来いって言うのな。勘弁だわ、あのかまってちゃん気質」


飯田はぼさぼさに伸びた髪をかき上げて笑った。
私と同じ、ジーンズにTシャツにパーカーといった服装なのに、こいつの場合元の顔が割合イイせいか、野暮ったく見えない。
得な男だ。


「おまえ、取りに行ってないじゃん。行ったの私じゃん」


私は同期に対するぞんざいな口調で返す。飯田がへらへら笑って答えた。


「だって、海東センセのご指名が、ばあやの桜庭なんだもん」


今日私が取りにいった原稿は、飯田が担当しているアプリゲームのシナリオだ。
いわゆる乙女ゲームといったジャンルで、これが今の海東くんのメインの仕事にあたる。


「こっちだって忙しいっつうの」


「悪かったって。ほら、これお礼」


飯田が礼だと押し付けてきた紙袋。
中身をのぞくと、萌系アニメのブルーレイが入っていた。
がっつり飯田の趣味だ。
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