ひねくれ作家様の偏愛
「いらないんだけど」


「いや~、黒髪ロングの魔女っこがマジやばいから。ギュンってくるから」


「知らないし。ギュンってこないし」


この会社を選んだ時点で、私だってゲームやアニメは嫌いな方じゃない。
いや、ゲームはむしろ好きだ。

でも自分がメディアミックスグループに回されるとは思っていなかった。ライトノベルは、この編集部に来て初めて読んだくらい。
それがいまや、チーフとは。おかげで結構な数のラノベに触れてきた。

私は紙袋の処遇に困り、返そうと飯田に差し出すけれど、原稿チェック中の飯田は受け取ろうとしない。
しばらくパラパラと原稿用紙を繰っていた飯田は、3分と経たずバサッ用紙をまとめた。


「よしよし、概ねオーケー」


「本当?」


とてもまともに読んでいるとは思えない。
飯田は私から萌えアニメの返却は受け付けず、原稿を手で弄んでいる。


「ま、適当にね。実際セリフとかは俺がいじっちゃうし」
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