ひねくれ作家様の偏愛
海東くんの熱を帯びた声が身体の芯に響く。
私も彼も密着している部分が焼け付くように熱い。
外の熱気にやられたせいだろうか。いや、きっと違う。


「ここ、エレベーター。離して」


「嫌です。今日一日、会った瞬間からこうしたくてたまらなかった」


海東くんの腕は力強く、外れない。
こんなことのために身体を鍛えているわけじゃないだろうけど、効果は抜群だ。
非力な私じゃ、まったく逃げられない。

海東くんの潤んだ声が私の耳元でささやいた。


「今夜、泊まっていってください」


「え……」


「俺だって、健全な男です。やっと気持ちが通じた好きな人に、もっと触れたいと思うのはいけないことですか?」


嬉しい。
まず、そう思った。

海東くんが『打ち合わせ』だなんて言葉を使ってまで、私を引き止めたかった気持ちが、ものすごく嬉しかった。
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