ひねくれ作家様の偏愛
「付き合わないよ。飯田は友達で、好きにはならない」


「そして、桜庭さんは俺のことも好きにはならない」


断定的に言って海東くんは薄く笑う。
やはり先ほどのやりとりをすべて聞いていたのだ。


「好きだよ……海東くんのこと。好きだよ」


「今更とってつけたように言わないでください。納得したっていうか……俺の気持ち伝えた後、避けられてるような気はしてました。壁を作られてるっていうか。やっぱりそうだったんですね。俺を受け入れてくれたのはお芝居ですか」


私は激しくかぶりを振った。

飯田にしたほうが言い訳、今話している気持ちが本音。

だけど、そんなことを彼が信じてくれるはずもない。
あんな場面を見られて、私は裏切ったも同然だ。
それでも言葉を尽くして彼を繋ぎとめようとするのは、私が心底彼に惹かれているから。
こんなことで無くしたくないと心が叫んでいるから。


「海東くん、私は本当にきみのことが……」


「今回も、仕事で俺と寝たんですか?それとも同情?会議で落選して、可哀想だから?モチベーションを保つため、身体で奉仕してくれたんですか?
……ふざけるな」


底冷えのする声で海東くんは言った。
私を見つめる真っ暗な瞳にゆらりと過ぎったのは憎しみ。
< 200 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop