ひねくれ作家様の偏愛
「寒かったでしょう?朝ごはんは?」


千弥さんがコンビニの袋を掲げて見せる。


「パン買ってきた。智くんが食べられるのもあるよ」


気が利いてるでしょ!と言わんばかりのドヤ顔だけど、菓子パンですべてを補うから痩せてしまうんだと思う。
付き合ってからは、俺の方が千弥さんの健康を気にしているようだ。


「スープ温めるんで、それも食べてください」


「え?ホント?智くん作ってくれたの?」


キッチンに向かう俺の後を犬のようにくっついてきて、千弥さんは嬉しそうに笑う。


「嬉しいなぁ。ありがとう」


「きちんと栄養を摂ってください。これ以上、痩せられたら抱き心地が悪くなります」


え!!と千弥さんが真顔になった。
すぐ真に受けるんだから。
抱き心地なんか関係ない。桜庭千弥という存在なら、どんな状態でも愛せる。
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