ひねくれ作家様の偏愛
スープとパンで一緒に早朝の朝食を終えると俺は千弥さんをシャワールームに突っ込む。
さらにシャワーから戻り、シャンプーの匂いをさせている千弥さんを強制的に寝室に押し込んだ。


「寝てください。疲れてるんでしょう?」


千弥さんはいつか俺が借りたスウェットをこの家での部屋着にしている。
スウェット姿に半分濡れた髪、ノーメイクという女子中学生みたいな無防備さで、俺を見つめる。


「え、でもせっかく来たのに、寝ちゃったら勿体無い。私元気だから、これから遊びにだっていけるよ?」


「バカ言わないでください。30代目前が。徹夜続きで体力がもつわけない」


まだ何か言いたそうな千弥さんの両肩をつかみ、ベッドにどすんと座らせると俺は部屋を出た。


まずい、まずい。
あのまま、一緒にいたら事だ。

千弥さんは疲れている。ずっと働きづめだった彼女がようやく休みを取れたのだ。
今日は寝かせてやるのが筋。

頭ではわかっているし、実行すべきが大人の男とは思う。

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