ひねくれ作家様の偏愛
『ファンです!』

『原作のノベライズお願いします!』


当時、毎日通ってくるダサ女に辟易していたのは事実だ。

一生懸命なところがいっそうムカついて、逃げ出すまでいじめてやろうと思った。

しかし、まったくめげない彼女。
どこからそのパワーが湧くんだというほど、情熱的に俺を口説いてくる。


『海東先生の作品が大好きなんです』

毎日言われ続ける熱心な言葉。
作品に対する愛の言葉が、俺自身への言葉に聞こえ始めた。
『アフター・ダーク』は俺の分身みたいな作品だったから。

俺が折り込んだ葛藤や苦しみまで丸ごと受け止め、愛してくれる桜庭千弥。

彼女の存在にいつしか救われている自分に気付いた。

気付いてしまった。


何とか理由をつけて桜庭千弥と繋がりたかった。たとえこの仕事が終わっても、彼女の心にしこりのように残りたい。

『仕事のため協力しろ』
こんな言葉で無理矢理彼女を抱いたのも、手段なんか選ぶ余裕がなかったから。
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