初恋しました




困ったようにそう聞く女の子にカラカラと珀は笑って。



「いいのいいの!
ね、明日もまたお話聞かせて、お姉ちゃん」



ニッコリと笑顔を浮かべる珀。


そっちを見るように女の子が顔を向けて。


控えめな、例えるなら道に咲いているコスモスのような。


そんな自然なかわいらしい笑顔。


なぜだか、その笑顔に一瞬目を見張る。



「あ、これは?これはおもしろい?」


「うーん、そうだなぁ。
わたしは好きだけど、珀くんにはまだちょっとむずかしいかもしれないな」


「えぇー」



大袈裟に肩を落とす珀を見て、彼女はクスクスと笑みをこぼした。



「それよりは、こっちがおもしろいと思うよ」


「えっ、どんな話!」


「これはね、」



楽しげに話をする2人に釘付けになる。


なんとなく雰囲気を壊してはいけないような気がして。


俺は声をかけずに、そのまま図書館をあとにした。





< 28 / 47 >

この作品をシェア

pagetop