君のために歌う歌

ステージ上が全体に少し明るくなる。


MCだ。


「えー、改めまして影葉陽翔です。今日は来てくれてありがとう。」


ジャン!と適当な音をギターで出す。




「……素敵な夜ですね。」


少し間を置いて、ニヤけて言った陽翔に観客は少し笑った。


かっこいいよヒロトー!と後ろの方から掛け声がかかった。



「ありがとう。」



陽翔が肩手を挙げて笑って応えるとまた観客は笑った。




「えーと、青葉GIGでやるのは初めてなんですけど、こんな大勢の前で歌えて僕は嬉しいです。ありがとう。」



パチパチとまばらな拍手。



僕、と言う陽翔はなにか新鮮だった。



「時間があんまりないんで次の曲いきます。『明日から』」



左の方からフー!という歓声が上がった。

宙子は、ファンがいるんだ、しかもテンション上がるような曲なんだなと思いながら陽翔を見た。
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