君のために歌う歌
ワンフレーズ、2人は見つめあっていた。


それからは陽翔はまた前を向き、その目元は少し長い前髪に隠れ、どこを向いているのか分からなかった。


どこも見ていなかったのかも知れない。


曲が終わり、拍手をしても宙子のドキドキは収まらなかった。



「えーと、次が最後の曲ですね。」


観客から小さく「えー」という声が上がる。


「今日はみんな来てくれてありがとう。」


陽翔は宙子をちらりと見た。

宙子は心の中で

(こちらこそありがとう)

と思った。


「素敵な企画に呼んでくれたコウくんありがとう、みんなまた会える日を楽しみにしてます。」


そう言って、明るいコード進行な曲を弾き始めた。
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