ごめん、好きすぎて無理。







『………陸……』






『殴られて当然です。
 何度殴られても俺の気持ちは変わりません。

 何度殴って頂いても構いません、海も…。

 その代わり、紗奈のこと、紗奈との子どものことを認めてください』







俺は紗奈のお父さん、お母さん、そして海に訴える。


そんな俺を見て、紗奈は俺の前にでる。


そしてその小さい体から伸びる両方の腕を広げて、言葉を発した。








『陸を…もう陸を傷つけないでください。
 私の……私の一番大好きな人なんです…。

 陸が傷つくところ、もう見たくないんです…』




『おい、紗奈!』



俺は紗奈の片方の腕を引き、俺の前からどくように促す、も、紗奈は踏ん張ってその場に立ち続けた。









『この人を傷つけるのだけは許さない…。
 この人に傷をつけることだけはどんな理由があっても許さない!』









『……紗奈……』
『……紗奈……』




紗奈の言葉に、紗奈のお父さん、海は同時に紗奈の名前を呼んだ。











< 112 / 159 >

この作品をシェア

pagetop