ごめん、好きすぎて無理。






『……紗奈……どうしてお前はそんなにも彼を守ろうとするんだ……』





紗奈のお父さんは涙混じりの声で、そう紗奈に問いかける。







『好きだから…。
 彼のことが好きだから、私が非難されて傷ついた方がマシだからよ…。
 守りたいの、誰からも、何からも…全ての事から彼を守りたいの…』











『………紗奈』




紗奈の言葉に、紗奈のお母さんが紗奈の元に近づく。






『あなた、彼に助けられたのね…。
 こんなにビショビショな格好をして…』



そう言って、紗奈のお母さんは紗奈の頬に触れた。




『ほら、こんなにも冷たくなって…。
 あなたね、母親になろうとしている人がこんなに体を冷やしていいと思ってるの?』






『………え…?』




紗奈のお母さんの言葉に、紗奈も俺もそう声を発した。






“母親になろうとしている人が”、そう…言った…?














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