大人の恋はナチュラルがいい。
「ヒヨコさんの馬鹿。なんでこんなに悩むまで独りで抱え込むの?てか、俺父親でしょ?なんですぐに話してくれないの?」
「え……」
「そんなに俺頼りない?相談しても仕方ないと思ってる?」
「違う、そんなんじゃなくって……」
驚くほど怒ってみせる太一くんに、私は弱々しく首をふるふると横に振った。まさか、こんなに怒るなんて。けれどそれが自分勝手な憤慨ではない事が充分すぎるほど伝わってくるから、反発する気持ちなどこれっぽっちも起こらない。
ふがいないほど無防備な顔をしている私を太一くんは力いっぱい抱きしめると
「悪いけど、俺ヒヨコさんが思ってるよりはしっかりしてるから。好きなひとが仕事も子供もあきらめたくないって泣いてるのを、どっちも叶えてやるぐらいの度量はあるつもりだから」
男らしさを剥き出しにした頼もしい口調できっぱりとそう告げた。
「でも……でも……」
それでもまだ不安が拭いきれない声を出すと、強く抱きしめられていた身体はふっと解放され、代わりに大きな手が私の頭をポンポンと撫でる。そして今度は真剣だけど何処か子供をたしなめるような口調で太一くんは話し出す。
「何が無理だと思ってる?産休中は店長代理をたてて営業を続ければいいじゃん。信頼できるスタッフがいるんでしょ?育児はふたりでやろう。お互い自由業なんだから時間を調整しあって、それでも埋まらない所はベビーシッターだってファミリーサポートだって私営も行政もフル活用すればいい。つまづく事があったら色んな人に頼りながらひとつずつ乗り越えればいい。ひとりで抱えちゃ駄目だよ、ヒヨコさん」