大人の恋はナチュラルがいい。
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太一くんが車を出してくれて30分ほど走らせた隣街の産婦人科。土曜の午後でも外来を受け付けている珍しい診療態勢のせいか待合室はなかなか混みあっている。受付を済ませ慣れない雰囲気の中でソワソワと待っていると、やがて「芹沢陽与子さん、3番診察室へお入り下さい」とスピーカーから案内が響いた。
「一緒に入ろうか?」
椅子から立ち上がると隣に立っていた太一くんが小声でそう尋ねてきたけど、初めての診察でどんな事を聞かれたりされたりするのか見当もつかないので、うっかり恥ずかしい事態に陥らないために私は「大丈夫だよ」と首を横に振っておいた。
「芹沢さんですね、どうぞお掛け下さい」
そんな普通の内科などと変わらない調子で始まった、生まれて初めての産婦人科の診察。けれど問診が済むとやっぱり噂に聞く内診が行われ、未知なる体験に私は何度も心の中で『ひぇぇぇ』と絶叫をあげた。そうしているうちに先に摂っていた尿検査や血液検査の結果も出て……改めてもう1度診察室の椅子に座らされる。
「生理不順ですね。少し貧血気味なので疲労かストレスが原因かもしれません」
「…………はい?」
「触診でも検査数値でも特に異常は見られませんので健康的な生活を心がけて様子を見て下さい。それでも改善しないようなら基礎体温表をつけて――」
「あの!あの……に、妊娠は……?」
「超音波検査からも尿検査からもそれらしい兆候はなかったので、今回はその可能性はありません」
――ソノ可能性ハアリマセン――
とても淡々と言い切った医師の言葉に、ここ数日の苦悩や太一くんとのやりとりがフラッシュバックされて、私は自分の意識が宇宙へ放りだされるような眩暈に襲われた。あああああああ。いっそこのまま気を失ってしまいたい!