大人の恋はナチュラルがいい。

「今回は違ったけどさ、でもさっき言った事に嘘は無いから」

 西日に照らされてゆるりと微笑んだ太一くんは、今までで1番優しい顔をしてるような気がした。それは自然と私をも笑顔にさせて「うん」と可愛く頷かせる。

「けど、慌てなくていいようにこれからはもう少し将来の計画たてよう」

 車に乗り込みながら言った太一くんの言葉は心底同意するものだったけど、よくよく考えるとそれはつまり、色々なことを含めて私との将来を考えてくれると云う意味に聞こえて、『それってプロポーズ?』と口から出かけそうになった台詞をぐっと奥歯を噛みしめて引きとめた。なんだかそんな白々しい事を聞いてしまうのも、結婚にガッツいてるみたいでカッコ悪いし。

 それに、太一くんと付き合いだしてまだまだ4ヶ月。将来を正式に誓うお楽しみはもう少し先でもいいと思う。妊娠は一気に結婚や出産まで駆け上ってしまうチャンスだったのかもしれないけど、ようやく“女”として楽しくなってきたばかりなのだ。手遅れにならない程度にもうしばらく、そして今度こそ計画的に恋人の時間を楽しみたい。なんて、理緒ちゃんに聞かれたら『呑気すぎます』って叱られちゃいそうだけど。


 私と太一くんに大きな羞恥と徒労を残した妊娠騒動だったけど、きっとふたりの距離は前より縮んだと思う。そしてそれは、新しい夢と前よりもっともっと大きい愛を私に抱かせてくれたような気がした。

 
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