大人の恋はナチュラルがいい。

***

「なーんでまず妊娠検査薬を使わないかなあ。全国どこの薬局でも売ってますよ、覚えておいて下さい。それ以前に基礎体温表すら付けてないとか信じられません。何年女やってるんですか」

 コトの顛末を話せば、理緒ちゃんから返って来るのは想像通り鞭のようなお説教。相変わらずビシバシ私のハートをしばくけど、何ひとつ間違っていないのが凄いと思う。

「ほんっとヒヤヒヤしたよ。理緒ちゃんの言う通り、もっと計画的に生きなきゃ駄目だね」

「そもそも避妊してないんですか?」

「してるよ。でもほら、盛り上がってるとちょっと失敗しちゃったみたいなのもあるでしょ?」

「甘い、甘いですよ店長も坂巻くんも」

 午後4時過ぎの【Apaiser】店内。客足が一瞬途絶えた隙を付いて赤裸々を通り越した生々しいアダルトトークを私たちは繰り広げていた。いつものように店内に広がるコーヒーの馥郁。それに包まれてお喋りをしながらドリッパーの手入れをする至福の時間に、私は日常のありがたさを噛みしめる。

 そのとき、お店のドアが開いて私と理緒ちゃんはトークを中断させると「いらっしゃいませー」と声を合わせた。
 
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