大人の恋はナチュラルがいい。

「こんにちは、ヒヨコさん。グァテマラのホットをください。あとチーズタルトも」

 アタッシュケースを手にしたスーツ姿の太一くんが、西日にキラキラ煌いて店内に入ってくる。私にとびっきりの笑顔を向けながら。

「太一くん、お疲れ様」

 カウンター席に座った太一くんにお冷を差し出せば、キッチンの奥から理緒ちゃんがさっきの問題について一家言ありそうな顔をしていたので、私は焦って首を横に振っておいた。

「どうかした?」

「ううん、なんでもない」

 私が微笑めば、太一くんは口角をくっと上げて嬉しそうな笑顔を返す。そんな事がとても幸せで胸がきゅうっと締め付けられる事を、私はこの数ヶ月で学んだ。

 仕事にかまけすぎて女として枯れかけていた私だったけど、恋をすればまだまだ咲き誇れる。それを教えてくれた彼と出会えて、こうして側に居られる毎日が本当に嬉しい。

「ヒヨコさんの淹れるコーヒー、本当に美味しいよね」

「愛情籠もってますから」

「あはは、珍しいヒヨコさんのノロケだ」

 これからも恋をしていたい。もっともっとキュンと胸を締め付けさせて欲しい。美味しいごはんもコーヒーも、太一くんのためにいつでも作ってあげるから。だからこれからもよろしくね。

 そんな想いで彼を見つめていたら、ふと顔を上げられ視線を絡められた。その眼差しが『こちらこそ』と言ってるような気がしたのは、愛のテレパシーかはたまた私の色ボケか。

答えは分からないけれど、優しくて熱い眼差しに、またひとつ私の中の“女”が咲いた気がした。



【fin】

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