赤いエスプレッソをのせて
気付いた時には、自分にこんな欲望があったのかと、自嘲した。

「ねぇ聞いて、ショー。私、生まれ変わったのよ。今は美代っていう名前なの」

「――美、代……」

まるで初めて聞いた名前のように呟き返した彼の唇を、人差し指でそっとなぞる。

両手で頬を挟んで上を向かせてやると、子犬のようにさみしそうな目で私を見た。

年上なのに、どうしてどうして、こんなにもかわいくて、純粋な表情を私に向けるのか……

それは、お酒に酔ったみたいに、ほろ甘くて心地よくて、病みつきになりそうだった。

だから病んだ。自分から。

「ショー、いい? 私のこと、大事にして。失って悲しかったなら、私のこと大事にして。私だけのことを、ちゃんとちゃんと守ってくれればいいのよ。わかった?」

もはや、姉の美代である私に、彼は面白いほど従順だった。

そして私達は気付いたら、体を重ねていた。

大きな彼が、私へと入ってくる。

彼はきっと、私のことを独り占めして、堪能しているつもりなんだろう。

だけどそれは間違いだ。

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