赤いエスプレッソをのせて




仲代先生がつく溜め息には、氷点下まで冷めた、とても重くて硬いものがある。

「――っはあ」

ちょうど、今のがそうだ。

長く溜めて、溜めに溜めて、文字通りこぼす。こぼれてしまう。

それが、仲代先生がはく最大級の溜め息だ。

「それはもう、精神科医の出番なのかどうか……正直はかりかねるわ」

という彼女の言葉に、相づちのように、はあ、と息を漏らす程度でしか対応できなかった。

ショーと体を重ねてから三日後の今日、仲代先生の診察に行くと、「今日は紳士連れじゃないですね」と面白半分に言われたから、家にいますと答えたんだ。

そこから繋がって、今私達が付き合ってるという事実が自然と出てきた。

そのなれ初めを聞いて、仲代先生は溜め息をついたんだ。
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