赤いエスプレッソをのせて
「――んんん?」

と、私は、白や赤、黄色の花瓶みたいに綺麗に咲くチューリップの花壇の中に、妙なものを見つけてしまった。

「なによ、あれ」

花壇の中に、男の人が倒れている。

いいや、あれ倒れてるんじゃなくて、寝てる。横たわってる。

チューリップを踏み潰したり寝潰したりはしていないけど、あれだけ花の中にドデーンと寝っ転がられていると目障りというか、頭に来るというか――

とにかく、私は彼に向かってずんずんと歩を進めた。

近づいていくと、真っ赤っかのとんでもない色合いが目に飛び込んできた。

うわ、ナンナノヨ、コイツ。

彼は、やや跳ねるくらいの短い髪を、ド派手に過ぎる赤に染めていたのだ。茶髪を赤毛と呼ぶような、そんな意味じゃい。『赤』いんだ。

思わず、まさかゴッテゴタのヤンキーなのかとたじろいでしまったけど、服装がそれっぽくない。

ジーンズにシャツというカジュアルさに、どこか大人っぽさを付け足した紺のジャケットを来ていた。

こんな紳士的な格好のヤンキーはまずいない。
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