赤いエスプレッソをのせて
目は閉じているけど……眠ってるのかしらね?

線の細い輪郭が、どことなく儚くって、一瞬見惚れてしまった――。

「あの……」

と声をかけると、しばらく、反応がなかった。

まるで、三分くらい世界よりも遅れた時の中で過ごしているように、彼はゆっくり目を開き、そしてゆっくり、顔を向けた。

うたかた、私を見止めた彼の目が、ヘンに泳いだ気がする。

「あぁ――はい……? 僕ですか?」

問い返しに、こっくりとうなずいて、用件をズバッと言う。

「あのそこ、花壇の中ですよ。そんなところで寝てるのはどうかと思いますけど?」

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