私の仕事と結婚
「えっ。」

典弘はエンジンをかけると、車を走らせた。

「ねぇ、夕飯どうする?」

何もしゃべろうとしない典弘に私はやっと話題を見つけた。

「うちに食材がある。何とかなるだろう。とにかく早く帰ろう。」

しゃべるのももったいないと言わんばかりの態度だ。

「…歩夢が欲しい。ダメ?」

何となくそんな雰囲気は察していたけれど…、言葉にされると恥ずかしい。

でももう私の気持ちも決まっていた。

「ダメならちゃんと言って。」

典弘は掠れた声で言う。

「…そんな事聞くもんじゃないわ。」

「歩夢が嫌な事はしたくないんだ。」

ポツリと典弘は言う。

「…嫌って言ったつもりはないんだけど…。」
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