9歳差は、アリですか?
立原は笑って誤魔化そうとしたが、笹山がやけに真剣な顔をしていたため笑うのをやめて目を逸らした。居心地が悪い。

「何ですか」
「…ごめん」

流れ的に謝るのはおかしい気がするが、笹山はうつむき気味に立原に謝った。

「課長?どうしたんですか」
「いや、俺さ立原さんはハルカに会うのが怖いのかと思ってたから。誤解してごめん」
「別に、大丈夫ですよ。それに怖いのは本当ですし」

しばらく沈黙が続く。

「立原さん、俺言おうか言わないか迷っていることがあるんだよね」

ようやく口を開いたと思ったら、相談か何かか。立原が首を傾げる中でも笹山は静かに続けた。

「立原さん、ハルカに会える機会があれば、自分でそれ渡してちゃんと言える?ーーーハルカに会いたい?」

静かに聞かれて心臓を射抜かれた気分になった。真剣な目で見つめられ身じろぎもできない。会いたいかと聞かれれば、…当たり前だ、そんなの、

「そんなの会いたいに決まってるじゃないですか…」
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