溺愛オフィス


どれでもいい。

もしかしたら、次の瞬間にまた傷つくこともあるかもしれないけど。

それでも、思い出せばいい。

父が、私の写真を眺めていたことを。

そうすれば、それだけで。


「お父さん、ありがとう」

「……何がだ」

「うん……なんだろうね」


私は曖昧に答える。

父はまた無言になってしまったけど、今日はそれでももう充分。


少しずつ、歩み寄れたらいい。

昔の父ではなく、今の父に。


大切なのは


これからの関係なんだから。














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