LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
廊下の先に、男が1人、立っている。
薄暗い雰囲気の男だ。
20代半ばってところか。
細身で、額にヤケドの痕がある。
体のさばき方が異様にひそやかだった。
まばたきの少ない目が、えらく据わっている。
海牙が笑顔をこしらえた。
完全に、作り笑顔だった。
今までは案外ほんとに笑っていたのか。
「お久しぶりです、世良【せら】さん。
こちらの邸宅にいらしていたんですか」
「どうも。
後ろのかたがたはお友達ですか?」
「総統のお客さまを案内してるんですよ」
「ああ、なるほど」
世良が、オレに視線を向けた。
ピンと来る。
こいつ、本当はオレたちのことを知ってる。
とっくに探ってあるくせに、知らんぷりをしている。