LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
ようやく、目的の場所に着いた。
黒服の護衛が両脇に控える部屋がある。
意外に質素なデザインの襖【ふすま】だ。
と思ったら、違うらしい。
理仁が襖に顔を寄せて、口をあんぐり開けた。
「南宋画【なんそうが】ってやつだよね~。
すげー、これ本物っしょ?」
「値打ちものだ、とだけ聞いてますよ」
「値打ちのスケールが違うって」
海牙が襖に手を掛けた。
それを引くよりも先に、襖が開いた。
中から、白髪の老人が顔をのぞかせた。
背筋の伸びたスーツ姿だ。
「総統がお待ち兼ねだぞ、海牙」
海牙は老人に首をすくめてみせた。
振り返って、紹介する。
「総統の執事の天沢【あまさわ】さんです」