LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―


天沢が襖を大きく開けた。

数十帖の畳の部屋が広がっている。

天沢がオレたちに背を向けた。

スーツに切れ込みが入っている。

そこから大きな黒い羽根が生えている。


「能力者……」


ばさり、と。

天沢は羽根をはばたかせて浮き上がった。

低い空中を、部屋の奥へと飛んでいく。


理仁が開き直ったようにつぶやいた。


「もはや驚かねぇぞ~。

何が起こっても驚かねぇからな~」


天沢が降り立ったそばに、男がいる。

羽織袴【はおりはかま】の出で立ち。

堂々とした体格の男だ。

一目でわかった。


「あの男が総統か?」

「ええ」


威圧感が、違う。


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