LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
羽織袴の男が、こっちを見た。
その瞬間。
ひざが、わなないた。
震えたわけじゃない。
“ひれ伏せ”
無言の圧力に屈しそうになった。
背筋に冷汗が流れる。
男が口を開いた。
「そんなところで突っ立って、どうした?
こちらに来るといい」
足が勝手に動き出した。
部屋に踏み入る。
畳の匂いがした。
ひれ伏したいような衝動が、消えない。
衝動に抵抗する。
顔をまっすぐに上げて、男の目を見て歩いた。
目の奥が焼け付くように感じた。
まぶしい光を見つめ続けているみたいだ。
畳2帖ぶんほどを隔てたところで。
足が、自然と止まった。
オレはまだ、男の目を見ていた。