誰よりも、君が好き
「で、でも…!!」
「うるさい。
早く帰んねーと、お前の親心配するぜ?」
うるさい、とビシッと言われて私もビクッとする。
しかも、親が心配してるとか、もっともだよね。
急がないと…
「…じゃあ、私もう帰るね。
また明日。」
私はちょっとだけ笑いながら、匠くんに手をふった。
でも、振り返ったとたんに匠くんが私の腕をパシッと掴んだ。
「待てよ、お前一人で帰るつもり?」
「いや、だって一緒に帰る人とかいないし?」
「なんのために俺が降りたと思ってんだよ!!」
……え?
それってどういう……
じっと見つめると、匠くんは我にかえったように顔を手でおおう。
「あー
……帰るか。」
暗闇に紛れて、匠くんの顔はよく見えなかったけど、きっとこのとき赤くなってたんじゃないかなって思う。
「うん…」
私はぎこちなく返事をして、ゆっくりと歩き始めた。