あの頃のキミは
絵麻side

ーーー次の日

私は凪くんに心配されながらも
いつもと変わらず皆と学校へ登校した。

何事もなく帰りのH.Rも終了し、今日は部活も休みなので
カバンに荷物を詰め込む。

その時だった。


「永井さん!」

この声…

その声が聞こえた方向に目線を移すと

やっぱりそこには星野満里奈ちゃんの姿。


ただ、彼女の顔は今までの自信満々の顔ではなかった。

どこか申し訳なさそうにオズオズとこちらを見ている。

「あいつ、何しにきたわけ⁈」

と、つぐみが今にも満里奈ちゃんに飛びかかりそうな勢いで立ち上がったので、急いで止める。

「つぐみ!大丈夫だから…」

席から立ち上がったところで凪くんも「俺も行く」と席から立つ。

「え…大丈夫だよ。満里奈ちゃん、今私に何かしようって感じじゃないし…」

「わかんないでしょ、そんなの。絵麻はお人好しすぎる。何言われても行くから、星野は信用ならない。」

え〜………

「わかったよ…でもある程度離れてて…多分、満里奈ちゃんもプレッシャーに感じると思うし」


今度こそ不安な面持ちの彼女の前と歩みを進める。

私に不安がないかといえば、それは嘘になる。

「な、なんでしょうか…」

恐る恐る彼女を見ると、フイッと目を逸らされた。

「ここだと話しづらいから、場所をかえていい?」

「あ、はい。」

そう言って綺麗な髪をなびかせる彼女の後についていく。

その後ろからはもちろん凪くんもついてきている。


少し人の流れが落ち着いた渡り廊下で彼女の足が止まった。

と、勢いよくこちらを振り返ったかと思うと直角90度に
頭を下げた。

「ごめんなさい!!」

「……へ?」







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