真っ赤なお伽話
昔からそうだった。確か、二年前・・・そう中学三年の頃から節子とは通っていた塾を通して付き合いがあった。当時は、まだ中学生だった事もあって髪も真っ黒でスカートもてるてる坊主の様だった。ある日、塾の帰りに私の模試の結果がかんばしくなく、背中に岩を背負うような思い気持ちで家路についてた時の事。
節子は、私の模試の結果が良くなかった事を知りながらもしきりに自分の成績が良かった事を自慢してきた。私とは対照的に節子は、蝶のような軽い足取りであった。
「私、また偏差値70オーバーだよ!凄くない!?良美!」
「う、うん…節子は本当に頭いいよね…」
苦々しい気持ちで返事をすると、メッキが剥げかけたような、表面上の慰めの言葉を掛けてくる節子。
「しょうがないって、良美。次があるよ!」
そんな節子に苛立ちを覚えることは今まで何回もあった。自己中心的な過度な完璧主義。全ての思考の始まりは、「その出来事に如何に自分が関わっているか」ということだけ。他人のことはステーキに付いてくるマッシュポテトのような物。そんな節子と長年付き合っているのは単純に私が内気なせいで友達が節子としずるしかいないという理由だけであった。肩にかかっている茶髪も、化粧品で塗りたくられた白い肌も良美達と同じで居るための標識みたいなもので、私自身化粧などはあまり興味がない。
「なに、ぼぉっとしてんの?良美?」
くりくりの大きな目で覗き込んでくるしずる。しずるは気遣いのできる人間で、節子のようなメッキが剥げかけた慰めの言葉ではなく心のそこから慰めの言葉が掛けられる人間だ。
「うん、なんでもない!」
「そっか…じゃあ、また明日ね~」
気がつけばしずると、節子と別れる道に着いていた。節子は相変わらず明日からの学校生活を気にしているようだった。
「じゃあね!」
二人の背中に手を振り、その背中が闇に溶け込んでいくのを確かめると家に向かうべく歩みを進めた。
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