真っ赤なお伽話
「どういうつもり?」
現在、16時00分。太陽は既に沈み始め、月へとバトンを渡そうとしていた。僕は夕焼けから目の前にいる女子――為定良美に視線を移す。
「話すのは初めてだよね、為定さん。」
「…梨香のこと?それだったら」
「おいおい、そんな結果ばかり追うのはよろしくないよ為定さん。どうも、やはり若いうちは早く早くと結果ばかりを追い求める。いや、それが悪いというんじゃないんだけどね。やはり、そこに向かう意思が大事なんじゃないかと思うんだよ、僕個人としては。たとえ、途中で失敗したとしても向かおうとしている限り、いずれそこには着くのだから。」
「誰だっけ、それ?」
「僕も忘れた。」
今時の子がこの台詞を知っているのには少し意外だった。意外な趣味が分かったところで僕は、タバコを一本取り出す。
「吸うかい?僕は女性がタバコを吸うのには何の抵抗もないものでね。」
「…」
無言でタバコを受け取ったので、僕はライターで火を点ける。為定さんは苦々しい表情で煙を吐き出すと、気持ちを静めるように息を吐き出す。
「で、何のよう?」
「赤嶺さん。」
「それは私たちには責任ないわよ。」
「本気でそういっているのかい?」
そう言うと、少し声の表情が暗くなる。
「確かにイジメをやったのは私たちだけど原因はそっちにあるじゃん。私たちにはないもんはないよ。」
「君はパルメニデスか?さながら僕はヘラクレイトスだね。」
「言葉は似ていても使う場面が違う気がする。」
なかなか賢い子のようだ。頭がいい奴を言いくるめるのは簡単。頭が悪い奴を言いくるめるのは大変難しい。豚は言いくるめられないだっけ?
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