真っ赤なお伽話
「いや、殺人鬼の定義を教えてくれとかそんなわけじゃないんですよ?」
「いや、わかってるけど…君はテレビとか新聞とか見たりしないのかい?」
まことに申し訳ない話だが英字新聞こそ読むが、僕は日本の新聞には目を通さないし、ニュースもBBCオンリーだ。よって日本の事情には詳しくない。というか、無知だ。(この間、近所の小学生にアライグマが立ったと聞かされ、そんな事はありえないと生物学的観点から反論をして泣かせてしまったことは記憶に新しい。)
源内さんは疲労とも、呆れともとれるような深いため息を吐く。一息置いて仕方がないように口火を切った。
「実はだ。この地方都市・柏では今現在連続殺人事件が起こっているんだ。それも2、3人何て瑣末な数じゃない。いや、決して人の命を軽んじているわけではないんだが相対的な話をした場合2,3人はやはり瑣末としか言いようがない人数だ。なんていったってすでに10人が殺されているのだから。」
「すごい数ですね…で、僕にどうしろと?犯人探しを頼むなら轟々野にでも頼んだほうが早いですよ。」
「そうかもしれないが今回は特例なんだよ、楠野君。これは秘密事項なのだが実は被害者の一人の掌の中に名門私立高校・王楼高等学校の校章が握り締められていたんだ。」
聞き覚えのある高校名。というか、僕の高校だ。つまりはあれか、轟々野なんかを使うより元々王楼高校に通う僕を使うほうが早いというわけか。