真っ赤なお伽話

｢いやいや、気にしないでくれ。挙動不審が服を来て歩く16歳とは僕の事でね。｣
｢そうなんだ？｣
飄々と嘯く僕の言葉を聞き流す、斎藤さん。
｢でもまぁ、地道に校内の子達を調べてくしかないんだろうね･･･｣
斎藤さんは何かを勘違いしてるようだが、僕に人間関係と言えるようなパイプは赤嶺さんと斎藤さんしかいないのだ。
そのせいで調査は難航していた。
斎藤さんは小脇に抱えていたビニール袋から牛乳パックを取りだしｽﾄﾛｰを差す。
｢身長伸ばしたくてさ。｣
と、どうでも良い情報を添えて。
突如、聞き古したメロディがスピーカーから流れてきた。
バレーボールをやっていた生徒達は我先にと入り口へと駆け込む。
｢そろそろ行こっか。｣
斎藤さんはゆっくりと立ち上がり、薄く微笑む。
それに対して僕は返事もせずに立ち上がり扉へと向かった。