真っ赤なお伽話
｢ド級の馬鹿だな。｣
僕はそう呟き教室をそっと除き込む。教室の中では既に赤嶺さんと三人のギャルが言い争いをしている。
｢よしﾁｬﾝが可哀想だから止めてあげなよ！｣
｢なにいきなり。梨香は関係ないでしょ！｣
そういえば赤嶺さんの下の名前は梨香という名前だったな。個人的には｢梨華｣という名前の方が好きなのだが。
そうしてみると、苛められている暗い女の子がよしﾁｬﾝであるのか。
｢関係なくないよ！クラスメイトが苛められてるんだもん！ほら。よしﾁｬﾝ行こう！｣
赤嶺さんは無理矢理よしﾁｬﾝの手を取り教室から出ていこうとする。
ドアに差し掛かったところでギャルの一人が声を低く響かせる。
｢明日っからどうなっても知んないからね、梨香。｣
｢そんなのに、一々ビビらないから。｣
その言葉を残し赤嶺さんは僕をも無視し通りすぎて行く。言葉とは裏腹に微かに赤嶺さんの手は震えていた。
僕は煙草を上履きでねじ消し教室の中に入る。
ギャル達は二度目の突然の来訪者に目を丸くした。
｢あー。決して僕は虐めをチクったりしないから安心して虐めを繰り広げていいよ。むしろ、僕は虐められる方に九割方非があると考えているから。｣
ギャル達が僕の一人言に呆然としているのを横目に、僕は机に向かい財布を取り教室の出口に歩を進めた。僕はふと立ち止まりギャル達を振り返る。
｢ちなみに、残りの一割は虐める側の知能の低さと考えてる。｣
その言葉を残し僕は学校を後にする。外はいつのまにか夕立が降っており、僕の心を鬱蒼とさせた。
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