いと。

『見るはずのなかった真実を突きつけられて苦しむことになる。』

父は何のことを言っていたのだろう。

『傷が浅いうちに別れておけ。』

傷なんていつ別れることがあるとしても浅いわけがない。


もし薫を失ったなら私は………全てをなくす。


もしかしたら母のように壊れてしまうかもしれない。

「…………なぁ、愛。」

明け方に目覚めてしまい、再び眠ることができないまま曇った思考に取り憑かれていた私に、素肌のまま後ろから腕を回していた薫が声をかけた。

「…薫。起きちゃったの?」

身じろぐように薫の方を向き、その胸に顔をうずめた私をそっと抱きしめ、薫はクスリと笑った。

「愛もだろ。ずっと寝つき悪そうだった。

それよりさ………、なぁ。」

私を抱く手にぎゅっと力が篭る。その仕草や声の響きはどこか寂し気で、一気に不安の雲が大きく広がった。

「…なに?どうしたの?」

「…俺ってさ。そんなに頼りない?」


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