いと。
薫と連絡を絶って一週間が経った。
ーカランー
「いらっしゃいませ。」
満面の営業スマイルで音の鳴ったドアを見ると…そこにいたのは戸澤さんだった。
「…こんにちは、眞城さん。」
「いらっしゃいませ、戸澤さま。
…お仕事の途中ですか?」
パリッとしたスーツ姿を見て自然とそう聞いた。
「えぇ。社用で海外に行っていて、先ほど戻ったんです。
…コレをあなたにと思って。」
差し出されたのは片手に収まるくらいの小さな箱だった。
「これ…ですか?」
「どうぞ。ちょっとしたお土産です。友人にも配っていますから気負わずにもらってやってください。」
………断ろうと思ったのに先手を打たれてしまった。
「では…、いただきます。ありがとうございます。見てもいいですか?」
「もちろん。」
彼にしてはいくらか柔らかい笑顔を向けられ、警戒心が少し解ける。
箱を開けるとそこにあったのは、ミニチュアのティーカップだった。
「これ…!すっごく可愛いです。うわ、しかもネコ足!」
それは真っ白なベースにゴールドのラインとブルーのリボンをあしらった、とても私好みのデザインだった。
「ありがとうございます!早速今日帰ったら飾りますね。」
自然と笑顔を向ける。
……っと。え?
戸澤さんは耳を赤く染めて手で口元を隠すようなしぐさをしていた。
あれ?もしかして、照れて…る?
いつもクールな印象の彼がそんな表情を見せるのはとても新鮮だった。
「…そんなに喜ばれるとは思わなかった。
いや、…でも、よかった。じゃあ。」
照れを隠すように彼は早足で帰っていった。
その滅多に見れなそうな様子を見送りながら私は、ここしばらく冷え切っていた心が少し温まるのを感じて…同時にとても切なくなった。
無性に、薫の笑顔が見たくなった。