いと。
戸澤さんが店から帰った後、秋物商品の打ち合わせや接客で私は忙しく動いていた。
ーカランー
「いらっしゃいませ。」
そんな中来店したのは一組の母娘だった。30代いかないくらいだろうか、パーマをかけた栗色の髪の綺麗な女性と幼稚園くらいの女の子。
女性は私を見て、にこりと微笑んだ。
「ママ、これがいいー。」
一頻り店内を見て回った後、甘えた声でリボンモチーフのついたスプーンを指差す女の子はとても可愛かった。
「ママとー、パパとー、かおちゃんの。」
赤と青とピンク、3色を揃えてその小さな手にスプーンを持ちとても嬉しそうにする様子はこちらにも幸せを分けてくれるようなパワーがある。
きっとこの子は両親に愛されて、幸せに過ごしているんだろう。子供はそれでいい。
…そうじゃなきゃダメだ。